by Snowrii
美容業界においても、大きなお店から、職人としての美容業と、経営としての美容業が分離していくのではないかと考えられます。
例えば、ある美容院では、主たる経営者三人が役割分担をするなど、すでにこの傾向が見られます。そして、理容・美容とも、これまでは技術優先の時代が長く続いたのですが、これからは、経営についても十分に工夫・努力しないと、お店を維持・発展させることができない時代が来るかもしれません。
また、理美容業と類似したサービス業である病院においても、技術優先の時代から経営にも配慮しなければならない時代に入っています。このような厳しい環境下で病院は、技術と接客をベースにしたサービス業であり、現在、技術提供者としての病院から、企業経営としての病院へと変革を迫られていますが、まだ変革途上にあり、コスト削減、サービスの質の向上、経営の多角化とも十分に進んでいる状態ではありません。
近年、病院経営が厳しくなってきたのは、規制緩和が進行したからで、この点で理容・美容業界と似ています。
理容・美容とも、競争が激化して、経営環境が厳しくなっています。また、不況の影響で、消費者の来店頻度が減少して、売上げが減少しています。理容業については、「安店」と言われるディスカウント店が増加したり、美容室が男性のお客さんを集め、既存店のお客さんの一部を奪っています。美容業については、有力なチェーン店が地域の美容室のお客さんを奪っています。このような経営環境の変化は、今後景気がよくなっていっても、続くことが予想されます。
これらの経営環境の変化を踏まえ、積極的に生業(なりわい)としての理・美容店経営から、企業としての理・美容店経営へと発想の転換を図る者と、そうでない者とでは、経営内容に大きな差が生じる時代が到来したと考えます。特に理容店は、自らが技術者であり、家族が食べていくには困らないという発想が先行しがちですが、環境が変化しつつある中で、将来的に自分や後継者がこれまでと同様に、理容店経営を続けられるとは断言できなくなってきています。そこで、経営環境の変化に対応して、今までの経営方法を変えていく、「経営戦略」が必要となるのです。小売業は経営戦略対応した者が残り、しなかった者は消えていきました。